代表ケース属性
概要
代表ケース属性のエンリッチメントは、各ケース内の特定活動からイベント属性値を抽出・集約することで、強力なケースレベルの属性を作成します。単純な属性抽出とは異なり、合計、平均、最小、最大計算などの高度な集約オプションを提供し、イベントデータから意味のあるケースレベルの指標を作成するのに最適です。
このエンリッチメントは基本的な最初・最後の発生抽出を超えて、複数のイベント発生にまたがるパターンや洞察を明らかにする数学的集約を提供します。たとえば、すべての請求書明細の合計金額を計算したり、複数の承認ステップにおける平均処理時間を求めたり、注文変更で適用された最大割引率を特定したりできます。さらに、特定の活動が発生しないケースにも対応できるインテリジェントなフォールバックオプションを含み、プロセスの変動があっても堅牢なデータ抽出を実現します。
主な用途
- 「請求書明細の作成」活動からすべての明細金額を合算して請求書の合計金額を計算
- 調達プロセス内の複数承認活動の平均承認時間を算出
- 販売注文内のすべての「割引適用」活動の最大割引率を特定
- 「在庫確認」活動中に記録された最小の在庫レベルを抽出
- 「顧客問い合わせ」活動から最初の顧客担当者を取得
- 「品質チェック」活動から最後の検査担当者を把握
- ロジスティクスプロセス内の複数「配送費計算」活動から合計配送費を算出
- 複数の「顧客フィードバック」接点から顧客満足度スコアの平均を算出
設定
フィルター: エンリッチメントを特定のケースのみに適用する任意のフィルター。フィルター条件に合致するケースのみ属性が作成されます。空欄のままにするとデータセット内のすべてのケースに適用されます。
新しい属性名: 作成する新しいケースレベル属性の名称。例えば「Total Invoice Value」「Average Approval Time」「Last Quality Inspector」など、属性の意味が明確になる記述的な名前を選んでください。
イベント列名: 抽出または集約したいイベント属性。金額や時間などの数値、リソース名や場所などのテキスト、タイムスタンプなどの日付が対象となります。
代表ケース活動名: 属性値を抽出する対象の活動名を1つ以上選択。指定した活動名に一致するイベントのみ対象とし、複数活動を指定した場合はそれらすべてのマッチするイベントに対して集約処理が行われます。
代表ケースイベント選択: 複数のマッチイベントが存在する場合の数値の選択・集約方法:
- First: 時系列で最初に発生したイベントの値を採用
- Last: 時系列で最後に発生したイベントの値を採用
- Sum: マッチするすべての値を合計(数値属性のみ)
- Average: マッチするすべての値の平均を計算(数値属性のみ)
- Min: すべてのマッチイベントの中の最小値を取得
- Max: すべてのマッチイベントの中の最大値を取得
- All: マッチするすべての値を連結(リスト形式)
該当データがNullの場合に最新イベントを選択: 有効にすると、指定した活動に該当属性が存在しない(または値がNull)場合、ケース内のどの活動からでもその属性の最新の非Null値をフォールバックで使用します。特定活動で値が取得できなくても可能な限り値を得ることができます。
事例
事例1: 合計請求書金額の計算
シナリオ: 調達プロセスに複数回の「Add Invoice Line」活動があり、それぞれに「LineAmount」属性があります。各ケースの請求書合計金額を計算したい。
設定:
- フィルター: (空欄 - すべてのケースに適用)
- 新しい属性名: Total_Invoice_Value
- イベント列名: LineAmount
- 代表ケース活動名: Add Invoice Line
- 代表ケースイベント選択: Sum
- 該当データがNullの場合に最新イベントを選択: False
出力: 「Add Invoice Line」活動のすべてのLineAmount値を合計した値を持つ「Total_Invoice_Value」属性を作成。例えば3行の請求額がそれぞれ$500、$750、$250の場合、Total_Invoice_Valueは$1,500となります。
洞察: 請求額の分布分析、高額取引の特定や承認管理、平均請求額の推移把握に利用可能。
事例2: 平均承認時間
シナリオ: ローン承認プロセスには「Initial Approval」「Risk Approval」「Final Approval」など複数の承認段階があり、それぞれに「ApprovalDuration」属性(時間単位)があります。承認に要した平均時間を知りたい。
設定:
- フィルター: (空欄)
- 新しい属性名: Avg_Approval_Hours
- イベント列名: ApprovalDuration
- 代表ケース活動名: Initial Approval, Risk Approval, Final Approval
- 代表ケースイベント選択: Average
- 該当データがNullの場合に最新イベントを選択: False
出力: すべての承認活動での承認時間の平均値を持つ「Avg_Approval_Hours」を作成。例えば2時間、4時間、3時間の場合は平均が3時間となります。
洞察: 承認プロセスのボトルネック特定、現実的なSLA設定、異常に長短い承認時間のケースの抽出に役立ちます。
事例3: 最大割引率の特定
シナリオ: 販売プロセスでは複数の割引活動(「Manager Discount」「Seasonal Discount」「Volume Discount」)があり、それぞれに「DiscountPercent」属性があります。適用された最大割引率を把握したい。
設定:
- フィルター: Process = "B2B Sales"
- 新しい属性名: Max_Discount_Percent
- イベント列名: DiscountPercent
- 代表ケース活動名: Manager Discount, Seasonal Discount, Volume Discount
- 代表ケースイベント選択: Max
- 該当データがNullの場合に最新イベントを選択: False
出力: 各ケースで適用された最大割引率を示す「Max_Discount_Percent」を作成。割引率が5%、10%、7%の場合は最大が10%となります。
洞察: 割引ルールの監視、過剰割引の特定、利益率への割引影響分析に有用です。
事例4: 最終担当倉庫(フォールバックあり)
シナリオ: 物流プロセスで複数の倉庫を経由します。各出荷の最後に担当した倉庫を知りたいが、一部の活動では倉庫情報が欠落する場合があります。
設定:
- フィルター: (空欄)
- 新しい属性名: Final_Warehouse
- イベント列名: WarehouseLocation
- 代表ケース活動名: Ship Item, Transfer Item, Store Item
- 代表ケースイベント選択: Last
- 該当データがNullの場合に最新イベントを選択: True
出力: 「Ship Item」「Transfer Item」「Store Item」活動のうち最後に発生した倉庫情報を持つ「Final_Warehouse」を作成。該当活動に倉庫情報がない場合でもケース内の任意活動から最新の倉庫情報をフォールバックで取得します。
洞察: 最終納品先の追跡、倉庫利用状況の分析、物流パターンの把握に役立ちます。
事例5: 注文処理中の最小在庫レベル
シナリオ: 在庫管理プロセスで複数回の在庫確認が行われます。注文の履行中に記録された最低在庫レベルを特定し、在庫切れのリスクを把握したい。
設定:
- フィルター: Order_Type = "Rush Order"
- 新しい属性名: Min_Stock_Level
- イベント列名: CurrentStockLevel
- 代表ケース活動名: Check Stock, Reserve Inventory, Update Stock
- 代表ケースイベント選択: Min
- 該当データがNullの場合に最新イベントを選択: False
出力: 注文処理中に記録された最小在庫レベルを示す「Min_Stock_Level」を作成。50、25、30の在庫レベルが記録されていれば、最小は25となります。
洞察: 在庫切れリスクのある注文を特定、再発注点の最適化、消費パターンの把握に活用可能。
出力
代表ケース属性エンリッチメントは、設定した名前の単一の新しいケースレベル属性を作成します。新属性のデータ型は元のイベント属性に準じており、値は選択された集約方法によって決定されます。
属性の特性:
- 場所: ケーステーブル(ケース属性リストやフィルターで参照可能)
- データ型: 元イベント属性に一致(数値、テキスト、日付、ブール値など)
- 派生: 派生属性としてマークされ、リネージ追跡に対応
- 表示形式: 元イベント属性の書式を継承
値割り当てルール:
- マッチする活動のあるケースに対して、指定の集約選択に従い値が割り当てられる
- マッチする活動がないケースはNull値(フォールバック有効時は任意の最新非Null値に置換)
- 数値属性限定の集約(Sum、Average)は数値イベント属性でのみ有効
- 「All」は値を連結リストとして作成
連携ポイント:
- 新属性は即時にケースフィルターや計算式に利用可
- 後続のエンリッチメントの入力としても使用可
- データエクスポートやAPIレスポンスに含まれる
- チャートやダッシュボードでの可視化対象に
- 他ケース属性との組み合わせによる計算フィールドでの利用可能
本ドキュメントはmindzie Studioプロセスマイニングプラットフォームの一部です。