フォーマット文字列
概要
Format String エンリッチメントは、複数の属性の値をカスタマイズ可能なテンプレートで組み合わせて新しいテキスト属性を作成し、データのフォーマットや表示方法を正確に制御できるようにします。単純な連結とは異なり、このエンリッチメントは .NET の文字列フォーマット構文を使用しており、URL の構築、構造化された識別子の作成、フォーマットされたメッセージの生成、スペースや区切り記号を正確に指定したカスタムラベルの作成が可能です。最大10個の属性に対応し、結果はプレーンテキストまたはクリック可能なURLのいずれかで出力できるため、プロセスマイニングデータを外部システムと統合し、操作可能なリンクを作成する際に非常に役立ちます。
プロセスマイニングにおいて、データを正確にフォーマットする能力は、システム統合の作成、レポート生成、ソースシステムと連携したユーザーインターフェース構築に不可欠です。Format String エンリッチメントは、{0}, {1}, {2} のようなプレースホルダーが選択した各属性の位置を表す標準的な .NET 複合フォーマット方式を使っています。これにより、カスタム区切り文字、接頭辞、接尾辞、複数パラメーターを持つURLのような複雑なパターンも含めて出力構造を完全に制御できます。また、オプションのフィルタリング機能を使うことで、業務上の条件に基づき特定のケースのサブセットのみにフォーマットを適用することも可能です。
特にURLフォーマット機能は強力で、Format を「URL」に設定すると、生成された属性は mindzie Studio のインターフェース内でクリック可能となり、ユーザーはソースシステムのレコードやドキュメント、外部ダッシュボードに直接ジャンプできます。これによりプロセスマイニングの分析は受動的な観察から積極的な調査へと変わり、アナリストはソースシステムの詳細を手動で探すことなく素早く掘り下げられます。
主な用途
- ソースシステムのレコード(ERP、CRM、ドキュメント管理)へのクリック可能なURLリンクを作成する
- 特定パターンのフォーマット済み識別子を生成する(SKU-2024-0001、CUST-US-12345 など)
- 複数属性をカスタム区切り文字で組み合わせた構造化メッセージを作成する
- 正確な命名規則に従う複合キーをフォーマットする
- 埋め込みパラメーター付き外部ダッシュボードやレポートへのハイパーリンクを作成する
- テキスト、数値、日付を組み合わせた表示用ラベルを生成する
- ケースやイベントの追加情報を取得するAPI呼び出し用URLを構築する
設定
Filter(オプション): フォーマット文字列を適用するケースを制限するためのフィルターを設定します。フィルターが設定されると、条件に合致したケースのみ新しい属性が作成されます。例えば、オープン注文や特定部署、一定期間内のケースのみにフォーマット出力を作成したい場合に便利です。条件に合致しないケースは新属性が null になります。
New Attribute Name: フォーマット済み文字列を格納する新属性の内部名を指定します。これはフィルター、計算式、データ出力に使用される属性名です。フォーマットされた値の内容を明確に示す分かりやすい名前を選んでください。たとえば、NetSuite レコードへのクリック可能リンクなら「NetSuite_URL」、標準化された製品コードなら「Product_SKU_Formatted」などです。データセット内の既存属性と重複しない一意の名前である必要があります。
New Attribute Display Name: mindzie Studio のインターフェース、チャート、レポートに表示されるユーザーフレンドリーな名称を指定します。属性の目的が直感的に分かるように、読みやすく明確なラベルを付けます。たとえば、URLの場合は「View in NetSuite」、構造化識別子の場合は「Formatted Product Code」など。表示名はスペースや特殊文字を含めることが可能で、可読性向上に役立ちます。
Attribute Columns: フォーマット文字列に含める属性を選択します。最大10個まで選べ、型は文字列、数値、日付、ブール値など任意です。選択順により各属性はフォーマット内で {0}, {1}, {2} として参照されます。最初に選んだ属性が {0}、次が {1}、という対応です。フォーマットパターンに必要な値を含む属性を選んでください。
Format: 出力フォーマットを「Text」か「URL」のいずれかで選択します。
- Text: フォーマット済み文字列が通常のテキストとしてデータセットに表示されます。識別子、複合キー、構造化ラベルやテキストベースフォーマットに適しています。
- URL: mindzie Studio のインターフェースでクリック可能なハイパーリンクとして表示されます。クリックすると新しいブラウザータブでリンク先が開きます。外部システムやダッシュボード、文書へのリンク用に利用します。Format String は有効なURL構文(http:// または https:// で始まる)を生成する必要があります。
Format String: 属性値の組み合わせとフォーマットを定義するテンプレートを指定します。標準的な .NET 複合フォーマット構文を使用し、{0}, {1}, {2} などのプレースホルダーが各選択属性を順に表します。任意のリテラル文字、特殊文字、URLパターンも含め可能です。
例:
- URL パターン:
https://system.company.com/record?id={0}&type={1} - フォーマット済みID:
SKU-{0}-{1:D5} - 構造化ラベル:
{0} - {1} ({2}) - 複数パラメーターURL:
https://erp.com/order.nl?id={0}&lineId={1}&whence=
Format String は数字や日付の標準 .NET フォーマット指定子もサポートします(例:{0:D5} は5桁ゼロ埋め、{1:yyyy-MM-dd} は日付フォーマット)。
Hidden: 有効にすると、新属性は作成されるものの mindzie Studio の標準属性一覧には表示されなくなります。フィルターや計算式、高度な表示ではアクセス可能ですが、ドロップダウンリストや可視化からは隠されます。中間属性や技術的な補助フィールドとして、ユーザーインターフェースの混雑を避けつつ分析を支援する用途に便利です。
例
例 1:ERP 販売注文へのクリック可能なリンク作成
シナリオ: 販売注文プロセスで、アナリストが NetSuite ERP の詳細注文情報を確認できるクリック可能なリンクを作りたい。リンクは個別の販売注文および明細へ直接ナビゲートすべき。
設定:
- Filter:なし(全ケースに適用)
- New Attribute Name:NetSuite_Order_URL
- New Attribute Display Name:View in NetSuite
- Attribute Columns:Sales_Order_ID、Line_Item_ID
- Format:URL
- Format String:
https://tstdrv2763156.app.netsuite.com/app/accounting/transactions/salesord.nl?id={0}&lineId={1}&whence= - Hidden:いいえ
出力: 新規ケース属性「NetSuite_Order_URL」が作成され、クリック可能なリンクとして表示されます。例:
- Sales_Order_ID: "SO-2024-1523"
- Line_Item_ID: "3"
NetSuite_Order_URL は https://tstdrv2763156.app.netsuite.com/app/accounting/transactions/salesord.nl?id=SO-2024-1523&lineId=3&whence= となります。
mindzie Studio でリンクをクリックすると NetSuite の該当販売注文明細が開きます。
効果: 分析者はボトルネックや異常箇所を特定した際にすぐにソースシステムへアクセスし、文書確認や対応ができるため、調査時間が数分から数秒に短縮され、原因分析の精度が向上します。
例 2:標準化された製品SKUコードの作成
シナリオ: 在庫管理プロセスで、カテゴリコード、年度、5桁連番から成る標準化SKUコードを作成し、全システムで一貫した商品識別を行いたい。
設定:
- Filter:なし
- New Attribute Name:Product_SKU_Standard
- New Attribute Display Name:Standard SKU Code
- Attribute Columns:Category_Code、Production_Year、Sequence_Number
- Format:Text
- Format String:
SKU-{0}-{1}-{2:D5} - Hidden:いいえ
出力: 新規ケース属性「Product_SKU_Standard」が作成され、フォーマット済みSKUコードを持ちます。例:
- Category_Code: "ELEC"
- Production_Year: "2024"
- Sequence_Number: 147
Product_SKU_Standard は "SKU-ELEC-2024-00147" となります。
{2:D5} のフォーマット指定子により、連番は常に05桁のゼロパディングになります。
効果: 標準化SKUコードはデータ品質を高め、システム間マッチング精度向上や倉庫自動化システムの識別子要件を満たします。ゼロパディングはソート問題を防ぎ、バーコード生成も安定します。
例 3:カスタマーサービスダッシュボードリンクの作成
シナリオ: カスタマーサポートプロセスで、各顧客の履歴と指標を示す社内Power BIダッシュボードへのリンクを作成し、サポート担当者が迅速に包括的な顧客理解を得られるようにしたい。
設定:
- Filter:Case_Status = "Open"
- New Attribute Name:Customer_Dashboard_URL
- New Attribute Display Name:Customer Analytics
- Attribute Columns:Customer_ID、Account_Region
- Format:URL
- Format String:
https://powerbi.company.com/reports/customer-360?customerId={0}®ion={1}&embed=true - Hidden:いいえ
出力: オープンケースに対し、カスタマーダッシュボードへのクリック可能リンクが作成されます。例:
- Customer_ID: "CUST-458821"
- Account_Region: "NORTH"
Customer_Dashboard_URL は https://powerbi.company.com/reports/customer-360?customerId=CUST-458821®ion=NORTH&embed=true となります。
効果: ワンクリックで顧客分析へアクセスできることで、フロントライン担当者が顧客価値、嗜好、過去トラブルなどの情報を即座に得て判断でき、エスカレーション削減に繋がります。
例 4:フォーマット済み請求書参照番号の生成
シナリオ: 買掛金プロセスで、ベンダーコード、請求書日付、請求書番号を規制報告用に指定のパターンで結合した請求書参照番号を作成したい。
設定:
- Filter:Document_Type = "Invoice"
- New Attribute Name:Invoice_Reference_Formatted
- New Attribute Display Name:Regulatory Invoice Reference
- Attribute Columns:Vendor_Code、Invoice_Date、Invoice_Number
- Format:Text
- Format String:
INV/{0}/{1:yyyy-MM}/{2} - Hidden:いいえ
出力: 請求書文書に対しフォーマット済み参照番号が作成されます。例:
- Vendor_Code: "VND-2847"
- Invoice_Date: "2024-03-15 10:30:00"
- Invoice_Number: "INV-8821-A"
Invoice_Reference_Formatted は "INV/VND-2847/2024-03/INV-8821-A" となります。
{1:yyyy-MM} のフォーマット指定子は請求書日付から年と月のみを抽出します。
効果: 監査証跡の規制要件に適合し、外部レポートとの正確な照合が可能。税務当局や監査人が簡単に解析・検証できる標準化形式を提供します。
例 5:ドキュメント管理システムリンクの構築
シナリオ: 契約承認プロセスで、SharePoint に保存されたPDF契約書へ直接リンクを作成し、承認者がフォルダ構造を検索することなく契約書全文を確認できるようにしたい。
設定:
- Filter:Process_Type = "Contract"
- New Attribute Name:Contract_Document_URL
- New Attribute Display Name:View Contract PDF
- Attribute Columns:SharePoint_Site_ID、Library_Name、Document_ID
- Format:URL
- Format String:
https://company.sharepoint.com/sites/{0}/{1}/Forms/AllItems.aspx?id={2}&parent=/sites/{0}/{1} - Hidden:いいえ
出力: SharePoint ドキュメントへのクリック可能リンクが作成されます。例:
- SharePoint_Site_ID: "legal"
- Library_Name: "Contracts2024"
- Document_ID: "DOC-2024-0582"
Contract_Document_URL は https://company.sharepoint.com/sites/legal/Contracts2024/Forms/AllItems.aspx?id=DOC-2024-0582&parent=/sites/legal/Contracts2024 となります。
効果: ドキュメントへの直接アクセスにより承認サイクル時間が短縮され、検索作業を省略。承認者は数分ではなく数秒で契約書をレビューでき、業務効率と満足度が向上します。
出力
Format String エンリッチメントは、データ型が文字列の単一の新規ケース属性を作成します。この属性には Format String 設定で指定されたパターンに従ってフォーマットされた結果が格納されます。Format が「URL」に設定されている場合、属性はURL型としてマークされ、mindzie Studio のインターフェースでクリック可能なハイパーリンクとして表示されます(テキストではなく)。
エンリッチメントは各ケースを個別に処理し、プレースホルダー ({0}, {1}, {2} など) にそのケースで選択された属性の実際の値を代入します。属性値が null または欠損している場合は、指定がなければ空文字列に置き換えられます。標準の .NET 複合フォーマットをサポートしており、数値のパディングや小数点、日付の年・月・日パターンなどのフォーマット指定子を利用可能です。
フィルターを設定している場合は、条件に一致したケースのみ新属性が付与され、一致しないケースは null 値となります。これにより、アクティブなケースにだけURLを作成する、特定カテゴリの識別子のみフォーマットするなどビジネスルールに応じた選択的適用が可能です。
フォーマット済み属性は他のエンリッチメント、フィルター、計算式、可視化で即時利用可能です。Format がURLのときは、ケーステーブル、バリアントビュー、詳細パネルからリンクを直接クリックして外部システムへ遷移できます。Hidden 設定はUI上の表示有無を制御しますが、フィルターや計算での利用には影響しません。これにより、中間属性や技術用フィールドを作成しつつユーザーインターフェースの煩雑さを抑える運用が可能です。
このドキュメントは mindzie Studio プロセスマイニングプラットフォームの一部です。